TOHO見聞録1970/vol.56（ロンドン）

行　程	午前中自由行動午後リハーサル 19：45〜本番（29回目）
演奏会	クイーンエリザベスホール（ロンドン）
宿　泊	フレマンティエ（ロンドン）
時　差	-9時間（東京比）
通　貨	1ポンド＝864円（イギリス）

食べ物を除いて重厚なイギリス

　午前中の自由時間に地下鉄をフルに利用して、ロンドン塔、議事堂、ウエスト・ミンスター寺院、バッキンガム宮殿を見て回る。

　この旅行もあと残すところ１０日になると、何か気がせいて、一刻たりとも無駄に過ごせない気がしてくる。
　日本に帰ってから、調べてみたら、「あと５分歩けば、これを見ることが出来たのに！」と思うことが、必ず出てくると思うと貪欲にならざるを得ない。

　ロンドン塔でジュエルハウスを見たが、英国王室所蔵の宝石のもの凄さには圧倒された。あの大きなダイヤを見るだけで、ダイヤの希少価値に対する基準がまったく無意味なものになってくる。

　今日の演奏会場はウォーターロウ橋に近く、フェスティヴァル・ホールの隣にあるクイーン・エリザベス・ホールだが、中に入ってもると、一見普通のホールのように見えるが、細部をみるとなかなか良く出来ている。客席の椅子も本物の黒いレザー張り、安楽椅子のようにゆったりしているし、楽屋も広々していて使い易い。

　今夜コンサートはモーツアルト『ディヴェルティメント』、バルトーク『ディヴェルティメント』、（以上、小泉ひろし指揮）、チャイコフスキー『セレナーデ』、小山清茂『アイヌの歌』（以上2曲、秋山和慶指揮）、ここでも大好評で、湯川駐英大使ご夫妻もご満悦の様子だった。

またまた暗雲立ちこめる

　夕食は隣のフェスティヴァルホールにあるセルフサーサーヴィスのレストランで、味は予想どおりあまり感心しないが、バラエティーがあってメンバー達も楽しそうだった。

　今日になって明後日のハーグのコンサートに楽器を輸送するのが、極めて困難なことが判明した。この気候の悪いときに、マンチェスターより北にあるハッダースフィールドからマンチェスターまでトラックで運びハーグまで空輸をしなければならず、しかも、日曜日にあたるため、税関を通してハーグのホールまで届けることは、不可能に近いということだ。

　いろいろ検討してみたが、天候が悪い場合はまったくお手上げで、まさに運を天に任せるしかないようである。

　明日はハッダース・フィールド移動して演奏会である。ロンドン～ハッダースフィールドまでの所要時間を調べようとシュミット氏に聞いてみると「そんな田舎町、行ったことがないから判らん」と言う。こうなれば、「なるようになる」と腹をくくってしまうより仕方があるまい。

ウエストミンスター寺院2階建バス