TOHO見聞録1970/vol.42（ローザンヌ～ベルン）

スイス
スイスという国は、どうも我々には理解しにくい面があり、一面的な見方では本質が見えてこない。

多面的にみるために、データを並べてみると、位置的にはフランス・ドイツ・オーストリア・イタリアに国境を接していて、国土は日本の約十分の一という地理条件。
１８１５年のヴィーン会議で永世中立国家として認められ、それ以来国際連盟、国際オリンピック委員会本部など国際機関の本部が多く置かれている。
また公用語としてドイツ語（スイスドイツ語）・フランス語・イタリア語・ロマンシュ語が使われており、実際は６４パーセントの人々がスイス訛りのドイツ語を使っていて、ますます複雑になってしまうため、英語も共通語に近い使われ方をしている。
その他観光・金融・精密機会（時計など）・薬品などの産業を持っている。

また、通貨としてスイスフランは最も安定した通貨であり、１９７０代、１スイスフラン＝８３円であったレートが現在でも１００円強と言う事実を見てもいかに安定しているかが伺える。（未だにユーロは採用されていない）

現在では自衛のための軍隊約4,000名と380,000人の予備役を持っていて、国連平和維持活動（PKO）にも積極的に海外派遣をしているが、武器を使用しない人道支援に徹している。
軍隊の素質としては、昔からスイスの傭兵は勇猛果敢であると、信頼を持たれていたが、永世中立を宣言してから、軍隊の体質も変わった。
現在例外的に傭兵として派遣されているのはヴァチカンの警備隊だけで、ミケランジェロがデザインしたといわれる派手な制服を着て異彩を放っている。

世界的に有名なスイス人としては、ジャン・ジャック・ルソー（思想家）、ヨハン・ハインリッヒ・ペスタロッチ（教育家）、パウル・クレー（画家）、ル・コルビジェ（建築家）アルベルト・ジャコメッティ（彫刻家）、ヤーコブ・ブルクハルト（歴史家）。

音楽家としては、エドウィン・フィッシャー（ピア二スト）、エルネスト・アンセルメ（指揮者）、シャルル・デュトア（指揮者）、エディット・マティス（ソプラノ歌手）、アルチュール・オネッゲル（作曲家）、スイス・ロマンド・オーケストラ（ロマンシュ語地域のオーケストラ）、スイス・イタリアゴ放送オーケストラ（イタリア語地域の放送オーケストラ）、カルミナ四重奏団（弦楽四重奏団）等が挙げられるが、ここまで書き出してみても、何か特有の味や香りが感じられないのがスイスのスイスたるところであろう。
（2013.04.19）