TOHO見聞録1970/vol.37（サルツブルク～インスブルク）

感動的な日の出

　朝6時、ホテルのコンシェルジュに頼んでタクシーを呼んでもらい、ホーエンザルツブルク城ヘ出かける。山の中腹で車を降り、坂道を登って城にたどり着く。丁度東の山から日が昇り始めた。城の裏側の平野に日の光がだんだん広がっていくのを眺めていると、私の気持ちも晴れてくる。普段は出来るだけ寝坊をしたい方なのだが、この旅行では早朝出発が多く、スタッフとしてはつい余裕を見て早起きをしてしまう。そのおかげで、いつの間にか日の出おたくになってしまった。でも、早起きは３文の得で、ナポリ・ヴィチェンツァ・ザルツブルクと私の日の出コレクションも大分たまってきた。ザルツブルクは今後私の記憶の中ではすます美化されて行くような気がする。

　ヨーロッパにはこのような美しい街が沢山あると思うが、モーツァルトという天才を生んだ街として、我々音楽を学ぶ者にとっては、故郷のような特別な親しみを覚える。すべてが慎ましやかに見えるこの街は天才モーツァルトの音楽がもつ純粋な美しさ感じられ、この日の出がそれを象徴しているようだ。城の真下にあるカプチーナ教会の屋根が澄み切った空気の中、朝日をうけて輝き出した時、グロッケントゥールムの可憐な鐘の音に呼応するように、あちこちの鐘楼から色々な音色の鐘が響きわたる。私はこの満ち足りた朝を一生忘れないだろう。

ザルツブルクの夜明け

平野の夜明け

ドーム広場の朝

山の夜明け

朝のザルツァッハ川

ザルツブルクの絵皿

チロルの山岳ドライヴ

　山の中腹で車を降り、坂道を登って城にたどり着く。丁度東の山から日が昇り始めた。城の裏側の平野に日の光がだんだん広がっていくのを眺めていると、私の気持ちも晴れてくる。ホテルに戻って朝食を済ませ、バスでインスブルクヘ向かう。今日の走行距離は180キロの予定であるが、チロルの山中を走るため、実に景色が良い。雪を頂く山の中腹を道路が通っていて、居ながらにして山の雰囲気が満喫できる。約半日バスは 山中を走り、夕暮時、西の空紅色に染まり川面に映っている。

　とんがり帽子のようなチロル特有の教会の塔がエンピツのようなシルエットになって見える。あたりがすっかり闇に包まれたころ、バスはホテルに着く。ここではコンサートも無く、一泊して休養をとる。街はずれには雪をかぶった山が迫り、冬のスポーツの中心地として、シーズンをまっているようだ。ホテルもなかなか良く、くつろいだ一夜が過ごせそうだ。

山中ドライヴ

夕焼けとトンガリ帽子の教会

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